ドリーム小説 【一冊目(ブチャラティが持ち出した)の日記】

『日付:××月○○日
 フィレンツェのパスタは美味しい。次はミラノのパスタと食べ比べてみたい。
 今日はとても天気がいい。生まれて初めて白い鳩を見たが、実はわたしは鳩が苦手である。どこかの国では鳩にえさを与えると、罰金が課せられるようだ。とても怖い』

『日付:××月○○日
 ミラノのパスタは少しだけ味が濃かった。ジェノヴァには素敵な店がたくさん並んでいる。
 今日はすこしだけ曇り空だ。けれど、曇り空でもミラノの景色はとても美しい』

『日付:××月○○日
 あり得ないほど不味いイタリア料理に当たった。果たしていけないのは料理なのか。それともわたしの舌がイタリアの料理に麻痺してきているからなのか。
 今日はとてもいい天気だ。所謂快晴だ。空がとても高く見える。宇宙に行ってみたい。宇宙でパスタを食べたら、パスタの麺はどこまで飛んでいくのだろうか。宇宙飛行士の友人がいたら話を聞くことができるのだろうか』

『日付:××月○○日
 ここで暮らし始めてから半年が経った。はじめは慣れない環境、慣れない風習に戸惑いもあったが、いまはここへ来てよかったと心から思っている。なにより彼女の作る料理が好きだ。生まれ育った故郷を思い出させてくれる。
 今日はとてもいい天気だが、午後**は雨が降るのだという。洗濯は午前中に済ませよう。
 もうすぐ**が***る。イタリアで暮らしはじめてから初めての体験になる』

『日付:××月○○日
 彼女の**は山奥に暮らしている。以前**に向かお**したときがあったが、彼女に止められてしまった。詮索はしなかったが、深い事情があるようだ。
 聞いた話によれば、彼女には妹がいるらしい。彼女もまた日本人でとても**なのだという』

『日付:××月○○日
 **から連絡があった。***だそうだ。
 わたしも**になるのだと思うと、これからの毎日が***で仕方がない。
 今のうちに**を考えなくては。確か書斎にそういった本が並んでいたような気がする。彼女が帰ってきたらいっしょに調べてみよう。きっと**に違いない』

『日付:××月○○日
 今日から三日間、わたしは留守番を任された。**はこちらで仲良くなった友人と会うために、ネアポリスへ向かった。なんでも友人の**を見に行くのだという。
 彼女は自分が**とも限らず、自慢のバイクでネアポリスまで向かった。わたしは大丈夫なのか、と必死に引きとめようとしたが、彼女は聞く耳を**なかった。わたしは彼女のことを**してはいるが。ああいう向こう見ずなところは若干**である』

『日付:××月○○日
 SS-01、**を基に開発中。
 ヤツらの言いなりなるわけではないが、いまはこうするしかない。愛おしい家族のために。
 このままでは、わたしたちの命が危ない』

『日付:××月○○日
 今日、妻が娘を連れて家を出て行った』

『日付:××月○○日
 彼の話は本当なのか。疑うことも信じることも、いまの***には許されないことだ。
 だが、もし本当であれば、***は嘘でもすがり付きたいと思う。ヤツらよりはマシだろう。
 ここまで作ってしまったのだ。後戻りはできない。先に進むために、***は選択する』

『検査結果:SS-02には望み有り』

『日付:××月○○日
 この日記も終わりが近い。新しい日記を買いたいところだが、ろくに買い物へは行けない。
 これからは***に残すことになるだろう。
 今日、ヤツらから逃れる方法を彼が考えてくれた。非常にありがたく思っている。
 しかし、なぜ彼は見ず知らずの***に力添えをしてくれるのだろうか。少しだけ疑問に思ったが、疑うことは彼からの信頼を失うことになる。口には出さないが、日記には残しておきたいと思った。彼がこの日記を読むことはないと思うが……』

『日付:××月○○日
 ひとつだけ希望が生まれた』

『わたしは最後まで、彼を信じよう』

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