ドリーム小説 66

 ムーディー・ブルースの額に浮かんでいる数字が巻き戻り、とある場所で形に変化が起こる。膨れ上がったムーディー・ブルースは背丈が高く、同性から見ても顔立ちがとても良い男の姿になった。男はホテルの制服を身に付けている。
「こいつは……」
 再生する前にアバッキオが男の顔を凝視した。
「こいつはオレがホテルを出る前にすれ違った男だ」
「そうなのか?」
「花屋の娘が見知らぬ男に箱へ詰められたと言ったな。それならやつが運んでいた、どでかいトランクケースの中に、その娘が詰め込まれていた可能性が高い」
「エマをホテルに連れてきたってことか?」
「とにかくだ。記憶を全て再生する」
 アバッキオの合図で記憶が動き始めた。男は銀色のワゴンを引きながら部屋に入ってくる。胸元の名札に名前は彫られていなく、担当所属も記されていない。
(突然に押しかけてしまい、申し訳ございません。その後の体調のほうはいかがでしょうか)
(体調?)
 男の声のあとに聞こえたのは、の声だ。
(問題ありません)
(左様でございますか。なにか必要なものがあれば、なんなりとお申し付けください)
(それは平気なのですが、ベッドのシーツを汚してしまったので弁償させてください)
(その件はどうかお気遣いなく。それよりも、温かい紅茶をご用意いたしました。ぜひ、淹れたてをお飲みになっていただきたいのですが)
 温かい紅茶という言葉に、アバッキオの眉が動いた。
 男はに招かれ、ワゴンを引きながら部屋の中へ入っていく。部屋に入ってからしばらくは二人の談笑が続き、聞いている分には怪しい点は窺えない。
 程なくして、男がワゴンに載っているティーポットを使ってティーカップに紅茶を注いだ。今までの動作の中で紅茶に毒のようなものを盛る様子はなく、怪しい動きもなかった。纏っている仮面を除けば、ホテルマンとしての身のこなしは完璧なように見える。
 紅茶をカップに注ぎ終え、ソファーに向かってそれを差し出す。受け取った相手は、当然のことながらだろう。再生中の空間にはカップが宙を浮いている。
(いただきます)
(熱くなっておりますので、お気をつけて)
 は紅茶を飲んだ。
(わあ、とっても美味しい)
(ディ・モールトグラッツェ)
 男が会釈をして礼を言った直後だ。が激しく咳き込み、持っていたティーカップを床に落とした。再生中ではその姿をとらえることはできないが、姿が見えずとも分かる苦しそうな声にブチャラティが顔を歪めている。
 に紅茶を与えた男は、床の上で悶えているではあろうを冷たい目で見下ろしている。その目はさきほどまで彼女の様態を案じていた穏やかな眼差しではなく、かといって殺意を含めた眼差しでもなく、狂気に満ちたものを感じさせる目だった。
 男は腕を伸ばし、なにかを掴み上げた。同時にの呻く声が聞こえる。どうやらの体を掴み、自分のほうへ引っ張り上げたようだ。
(意外とすんなり飲んでくれたな)
 男の優しい声は一変し、酒焼けのような声になった。
(あなたは、いったい誰)が言った。
(覚えてないか? まあ、覚えてるわけないか。お前はまだ母親の腹の中にいたんだからな。随分と探したぞ、。大きくなったな)
(知らない人とは口を利かないようにしているの)
(あまりいい成長はしなかったようだな。お前を育ててくれた親代わりでもいたのか?)
(黙って)
 の声には怒りが含まれていた。丈夫な石橋に亀裂が入っていくような低い声だ。
(それならお前も黙ってオレについて来い)
(断る、と言ったら?)
(お前が要求を断れば、この娘を今からネアポリスの海に放り投げようと考えているだけだ)
 言いながら男はワゴンから大きなものを取り出した。恐らくだが、その中にエマが入っているのだろう。男の要求にの声が途絶えた。条件をのんだのか、それとも意識が途絶えてしまったのか。ムーディー・ブルースの力では把握することができない。
 言葉を発さなくなったとは別に、男はポケットから携帯電話を取り出した。操作した携帯電話から呼び出し音が鳴るも、男は耳に当てることなく、手元に持ったままでいる。そして四回目の呼び出し音が鳴ってから男は通話を切った。言葉を発した動きは見えなかった。
(しまった)
 部屋を出て行こうとした男が立ち止まった。
(制服を処分しなくてはならないな)
 男は身に付けている制服を脱ぎ、下着一枚となる。どうやって制服を処分するのか、と凝視していると、男は歯を使って制服を破り、まるでうさぎが草を食べるように、むしゃむしゃと制服を食べ始めた。ベストからシャツ、ネクタイまでも。無心で制服を食べ続ける姿に、片手で顔を覆っているミスタが思わず後ずさりしている。
 一分も経たない間に、男は制服を胃の中におさめた。男は下着姿のまま立ち上がる。向かった先はキッチンルームだ。冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出し、それを飲み干す。
(これはの飲みかけか? 彼女の唾液がオレの身体の中に飲み込まれていくのを感じる)
 艶かしく言い、男は自身の姿を見つめる。
(さすがにこのままでは外にいけないな。変態と思われてしまう。の服を借りようか)
 ベッドルームへ向かい、封がされていないダンボール箱の中から洋服を取り出す。男が着ても違和感のない黒色のセーターに首を通し、ベルト付きのワイドパンツを履いた。全身鏡の前で身格好を確認したあと、男はセーターに鼻を近づけた。
(んん~~、ディ・モールトプロフーモ。若い女の匂いがする。良い香水を使っているな)
 それに、と男は胸元を鷲掴みにする。
(身体のほうもいい成長をしている。特にここが)
 鼻歌交じりで踵を返し、男がリビングルームへ向かおうとしたときだ。男の顔面を目掛けてブチャラティのスティッキィ・フィンガーズの拳が繰り出されようとしていた。その光景にアバッキオはもちろん、ミスタも思わず声を上げる。スティッキィ・フィンガーズの拳が男の顔面を貫く寸前で、アバッキオは急いでに再生を解除した。
「なにしてんだ、ブチャラティ。そいつを殴ったらオレの体も吹き飛んじまうんだぜッ」
「ああ、解っている。解っていたんだが……」
 ブチャラティは頭を掻きむしり、深い息をついた。
「すまない、いまのはオレが冷静じゃあなかった。アバッキオ、再生を続けてくれ」
「待つんだ、ブチャラティ。いまのあんたは冷静とは言えない」アバッキオが必死に制する。
「そうだぜ。あんたらしくもない」アバッキオに便乗するようにミスタが言った。
「オレはいたって冷静だ」
「そうは言ってもだな……」
「ブチャラティ、やっぱり一度――」
「いいから早く再生を続けろ」
 凍りつくような声で言うブチャラティに、アバッキオとミスタは頬に冷や汗を流す。これまでにブチャラティから咎めの声を聞いてきたが、目の前にいるブチャラティは過去のどれにも当てはまらない。怒りという表現が生易しいほど、彼から溢れ出す気迫にアバッキオたちは思わず固唾をのんだ。

66-2

「お待たせしました」
 アバッキオが再生を続ける前に、部屋の扉が叩かれた。入ってきたのは先ほどアジトへ車を走らせて戻ってきたフーゴと、フィオーネを医務室へ送り届けるように命じたナランチャだ。恐らく二人はロビーで合流したのだろう。
「どうしたんだ、みんなして黙りこくっちゃって」
 フーゴの問いかけにブチャラティを初め、その場にいる全員が視線を逸らした。その様子に状況を掴みきれていないフーゴとナランチャが首を傾げる。
「何でもないんだ。フーゴ、ご苦労だった」
「いえ、二分遅刻してしまいましたけどね」
 ブチャラティはフーゴから手渡された日記を受け取り、隣にいるナランチャに向き合う。
「ナランチャ、彼女の様子は?」
「怪我はあるけど、かすり傷だって。応急手当をしてもらって、いまは医務室で休んでるよ。あの人が見つかってホテル内も少しは落ち着いたみたいだ」
 元々ホテル内の混乱の発端は、フロントクラークが居なくなったことから始まった。彼女は犯人がの素性を訊き出してきたことや、顔は見えずとも身格好を目撃していた理由で、あのような目に遭ってしまったわけだが。その彼女が無事に見つかり、防犯カメラも直ったという点に関しては、ホテル側では一段楽している頃だろう。
 しかしフィオーネは解っている。自分が襲われたことも含め、宿泊者であるの身に危機が晒されているということを。賢明な彼女であれば、事を大きくするような発言は控えているだろうが、彼女の性格を考えると、居ても立ってもいられない心境だろう。
「そのことなんですが、ブチャラティ。フィオーネさんは日本人のハーフなんだとか」
「ああ、そうらしいな」
「もしかしたら彼女なら、この日記を翻訳できるかもしれません。病み上がりのところ悪いようですが、彼女に頼んでみてはどうでしょうか」
 確かに。今からまた本屋の親父に頼むにしても、既に店は閉まっているだろう。このなかで最も学力に長けているのはフーゴだが、彼も彼で日本語に万全なわけではない。全てを読み取るまでには、少々時間がかかってしまうだろう。
 フーゴの意見に同意したところで、傍でこちらの話を聞いていたアバッキオが口を開いた。
「ブチャラティ。犯人の顔と行動、追跡はオレたちがしておく。あんたはフーゴといっしょにその本の翻訳をしてきてくれ。いまはそのほうがいいだろう」
 先ほどのことを気にしているのか。それともブチャラティに気を遣っているのか。アバッキオの言葉には密かな優しさが含まれていた。
 アバッキオの言葉に頷き、ブチャラティはフーゴを連れて部屋を後にした。エレベーターのボタンを強めに押し、ブチャラティはため息をついて腕を組んだ。
「大分参ってますね。もしかして、ムーディー・ブルースで嫌なものでも視たんですか」
「嫌なものなんてもんじゃあない。ヤツの性癖かどうかは知らんが、あんな変態野郎にが拉致されたと分かった以上、色んな意味で彼女の身体が心配だ」
「拉致をしたということは、さんを殺すことが目的ではなかったわけですからね」
だけじゃあない。エマの身も心配だ。ムーディー・ブルースの様子を見れば、犯人はとエマを同時に拉致している可能性が高い。そしてこれはオレの憶測だが、恐らくはエマを人質にとられたんだろう」
「こんな言い方をするのも失礼ですが、さんはエマさんと面識がないはずですよね? 見ず知らずの一人の少女のために、危険を承知で着いて行ったということですか」
「そうだ。彼女なら間違いなくそうする」
「間違いなく?」
 ブチャラティは組んでいる腕を解いた。「目の前でそういう光景を見たことがあるからさ」
 エレベーターが到着し、扉が開いた。フーゴが『開』のボタンを押したまま、ブチャラティを促す。続いてフーゴが乗り込み、扉は閉まった。エレベーターは音を立てずに静かに降下していく。
「僕もここへ向かいながら一冊目の日記の内容を読み直していたんです。僕たちが持ち出した日記がさんの父親が残したものであると判明した以上、日記に残っている文章は二冊目に続く内容ということになります。きっとこの日記を読み取れば……」
が犯人に狙われる理由。そしての秘密についても知ることができるだろう」
「そう考えると、さんの探している父親も今回の一件と無関係とは思えませんね」
「ああ、オレもそう思う。には悪いが、彼女の父親の身元を調べ次第、捜し出そう」
 こうなってしまった以上、彼女の気持ちを尊重するべきだろう、と悠長なことを言ってはいられない。組織の力を利用すれば、そう難しいことではないはずだ。
 エレベーターが一階に到着する。フロントの脇を通り抜け、医務室まで向かう。医務室はリストランテの隣にある。部屋の扉を叩くと、中から、どうぞ、という声が聞こえ、フーゴが扉を開いた。中には白いカーテンが仕切られており、カーテンの向こうからフィオーネの姿が現れる。
「ブチャラティ様?」
「フィオーネ、安静にしているところすまない。折り入ってきみに頼みたいことがあるんだ」
「わたくしにですか?」
 ブチャラティは日記を差し出す。「この日記の内容を翻訳してくれないだろうか」
「お預かりいたします」フィオーネは両手で日記を受け取り、ページを開いた。
 ページを捲り、文章に目を通すフィオーネをブチャラティとフーゴが黙って見守る。
 二、三ページほど読み終えたフィオが顔を上げた。
「これらは全て日本語ですね」
「ああ。平仮名程度なら読めるんだが、漢字が使われているとなると読み取れないんだ。礼は後になるがきちんとさせてもらう。お願いできるだろうか」
 フィオーネは笑みを浮かべて頷く。「お任せください。時間はいかがされましょうか」
「それは……速ければ速いほど助かるが」
 ブチャラティは時計を眺める。
「三十分ほどでいかがだろうか」
「かしこまりました。十五分で済ませます」
 フィオーネの台詞に、ブチャラティとフーゴは思わずお互いに顔を見合わせた。
「それと、フィオーネですと呼びにくいと思いますので、フィオとお呼びください」
 さんからもそう呼ばれておりますので、と言いながら、フィオはサイドテーブルに日記を広げ、胸ポケットから万年筆を取り出した。自身で持っていた手帳の白紙部分を切り取り、文章を書き写していく。
 作業に集中するフィオを見兼ね、ブチャラティは、医務室を出よう、とフーゴに耳打ちする。
「あ、あのッ」
 しかし医務室を出ようとしたとき、フィオから呼び止められた。どうかしたのか、とブチャラティが振り返れば、彼女は目を泳がせたあとにこう言った。
「実はまだ、先ほどのことが抜け切れなくて。ご迷惑でなければ、傍にいていただきたいです」
 ごもっともな言葉だと思った。ブチャラティとフーゴは頷き、医務室のソファーに再び腰を下ろした。こちらの様子を見て安堵したフィオは、再び作業に戻った。
 医務室には時計が進む音と、フィオの万年筆を走らせる音だけが支配している。隣に座っているフーゴの目の下には微かにくまが浮かんでいるが、目は冴えているようだった。彼は一冊目の日記に目を通し、虫食いになっている部分に単語を当てはめている。
「大丈夫か、フーゴ」
「その言葉、あんたにそっくりお返ししますよ。さんとエマさんが心配なんでしょう?」
「それは僕たちも同じだ」
 フーゴが目を、ぱちぱちとさせる。
「お前はそう言いたいんだろう」
「あんたが背負っている思いには負けますけどね」フーゴは苦笑を浮かべ、前髪を掴んだ。
 彼女たちを案じているのは自分だけではない。その事実がいまこの瞬間だけ、心地よかった。
「ブチャラティ様にとって」
 今度はフィオが一度万年筆を止め、顔を上げた。
「ブチャラティ様にとって、さんはどのような存在なのでしょうか」
 それはこれまでに何度か訊かれた質問だ。フィオの問いに隣で日記を読んでいたフーゴもこちらに視線を送ってくる。なんと答えるのだろう。そういう眼差しだ。
「彼女はオレの友人だ。それはいまも昔も変わらない」
 ただ、とブチャラティは続ける。
「単なる友人と言うのは、物足りなさがあるかな」
 フィオは小さく笑った。なにか可笑しいことでも言っただろうか。首を傾げるブチャラティにフィオは、申し訳ありません、と謝る。止めていた万年筆を動かし、日記に目を向けながらフィオが口を開いた。
さんもまったく同じことを言っておりました」
が?」
 はい、とフィオが頷く。「さんへブチャラティ様との詳しいご関係をお訊きしたときに」
「どうしてまた、そんなことを訊いたんだ」
「それは……」
 フィオは、ふふっと小さく笑った。
「ブチャラティ様が熱心にさんへお会いになっているからではありませんか。さんへお会いになられる前のブチャラティ様のお顔は、ギャングスターとは思えないほど穏やかでしたよ」
 ブチャラティは自分の顔を片手で覆った。
「年上の女として言わせていただきますが、ブチャラティ様もやはりまだお若いのですね」
「ほら。言われてますよ、ブチャラティ」
「お前は少し黙っててくれ」
 程無くしてフィオは、できました、と丸めていた背中を伸ばした。ブチャラティとフーゴはソファーから立ち上がり、額に汗を浮かべているフィオへ頭を下げた。
「お止めになってください、お二人ともッ」
 ブチャラティは頭を上げる。「ディ・モールトグラッツェ、フィオ。本当に助かった」
「お役に立ててなによりです」
「この礼は改めてさせてくれ」
 フィオはかぶりを振った。「お礼を言わなくてはならないのは、わたくしのほうです。お客様のためにわたくしができることをして、お礼を言っていただけるのが何よりの喜びですから」
 もしかしたら、とフィオは呟く。
「もしかしたらわたし、フロントよりもコンシェルジュのほうが向いているのかも」
 コンシェルジュとはホテルを初め、訪問客や宿泊客からの要望に応えるために、様々な提案を持ちかける所謂何でも屋のような仕事だ。聞いた話によれば、コンシェルジュは長い経験を積んだ者にしか試験を受けることができず、幼い頃から現職に憧れていたフィオにとっては、この上ない職域なのだという。
 彼女の話を聞きながら、ブチャラティとフーゴは迷うことなくフィオの適職だと感じた。
 それを伝えると、フィオは自信に満ち溢れた顔で頷いた。
「日記の内容は翻訳をしただけで文章には目を通しておりません。どうかご心配なく」
 ブチャラティはフィオから日記と紙切れを受け取る。
「次にきみと会うときはもいっしょだ。ゆっくり休んでいてくれ」
「そうさせていただきます。またお力添えできることがあれば、お申し付けくださいね」
「ああ」
「感謝します、フィオさん。それでは」
 カーテンを閉めて、ブチャラティとフーゴは医務室を後にした。ロビーへ出ると、先ほどまで突然のトラブルに右往左往していた従業員が落ち着きを取り戻し、各々仕事に取り掛かっている姿があった。フロントでは数名の宿泊客がチェックインの手続きを行っている。こんな遅い時間からチェックインをする宿泊客もいるのだな、と思いながら、ブチャラティはラウンジに設置されているソファーに座った。普段は雑誌や新聞を片手に時間を潰している者で席が埋まっているが、この時間帯はブチャラティとフーゴ以外に姿はない。
 ふと、ホテルの外を見た。天井の上から下まで大きく伸びた窓ガラスの向こうでは、花壇に植えられている花や木々たちが激しい雨に打たれて踊っている。瞬きかと思った白い閃光は、数秒後に大きな音を立てて空を裂いた。外の天気は――最悪だ。
「ブチャラティ、早速ですが……」
「ああ、日記を読んでみよう」
「まず、僕が一冊目を読みます」
「そのほうが分かりやすくていいな。その後に二冊目を読み、内容を照らし合わせてみよう」
 ブチャラティとフーゴは日記を開いた。

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