09

 ナマエはダンデ、リザードンと協力してガーディを探し続けていた。だが、運が薄いのか、窪地一帯を歩いても姿を拝むことはない。
 試しにネットで目撃情報を調べてみた。条件が揃っていればおのずと出会えるポケモンだ、と記されている。発見までに時間を有する存在ではないのだが、ナマエは半ば諦めかけていた。
 隣を歩くチャンピオンを一瞥する。先ほどの出来事を踏まえ、自分の傍で探してほしい、と念を押されたのだ。反対側にはリザードンがいる。つまりは二人に挟まれながら歩いている。
 不意に深緑色と目が合う。彼は何を思ったのか、小さな炎を吐き出した。ナマエには溜め息のように見えた。
 あれから、どれだけ時間が経ったのだろう。
 バンギラスの奇襲を受け、リザードンとチャンピオンに危機を救ってもらってから、彼は一言も喋らない。ふとした瞬間に目が合っても微苦笑を浮かべ、すぐに余所見をする。
 ナマエは何かを察知し、必要以上にダンデの前を歩くことは止めた。いまは自分もリザードンもいる。迷ってどこかへ消えてしまうこともないだろう。
 ただ、ほんの少しだけ。調子が狂う。チャンピオンらしからぬ態度をとり続ける理由は明白だった。
 ばくれつパンチの如く言葉を投げかけてくる彼が、これほどまでに寡言になるとは。寧ろ、今までが異常値だったのだ。初対面とも限らず友達口調で話し、話題を広げてくる。バトルに縁の無い人間をワイルドエリアへ連れ出し、ポケモンをゲットしようと提案する。
 何故、チャンピオンはそれほどまで――。
 捜索から一時間。辺りは黄昏色に染まり、夜にしか現れないポケモンが徐々に顔を出す。
 頃合いを見て、ナマエからダンデへ問いかける。
「ガーディ、見つかりませんね」
「そうだな」
 どっしりとした沈黙が生まれる。二人の間をタンブルウィードが風に乗って転がっていく。
「見つかるはずなんだが」ダンデは悩ましげに腕を組んだ。「すまない。オレの責任だ」
「謝らないでください。決まって会えるような子でないことは知っていましたから」
「しかし……」
 ナマエはワイルドエリアを見渡す。「ゲットは叶いませんでしたが、たくさんのポケモンを間近で観察することができて楽しかったです。収穫がひとつも無かったわけじゃありません」
「だが、オレはきみを」ここまで言ってダンデは口をつぐんだ。「いや、そうだな。ナマエが少しでも満足してくれたのなら、それで良い」
「はい」
 間もなく襲いかかる重い空気。ナマエはこの状況から、どう別れを切り出すかを黙考する。
 そんな時だ。ナマエの鞄から不思議な音が鳴った。
「なんだ?」ダンデは帽子のつばを上げた。「いま、おかしな音が聞こえなかったか」
 ぐうう。今度ははっきりと鳴った。
 まさか――ナマエはモンスターボールからエリキテルを出した。彼は地面に突っ伏している。そのまま体を反転させ、薄くなった腹を鳴かせた。
「エリキテル」ナマエは若干の恥じらいを抱えながら、その場に膝を折った。「お腹空いたの?」
 彼は力なく頷いた。空腹を訴えかけるように虫の音が響き渡る。
 思い返せば、家を出る前にポケモンフーズと木の実を与えただけで、太陽の光を浴びせていない。
「気付いてあげられなくてごめんね」
「それなら」ダンデはスマホを取り出した。「アーマーガアタクシーを呼ぼう。きみたちを無事に家まで送り届けるように手配するから」
「結構です」
「オレがそうしたいんだ」
「それなら、その前にわたしの話を」
 要求も虚しく、けんもほろろに突き放される。ダンデは無言でスマホを操作し始めた。
 彼が一報を入れようとする刹那、ナマエの脳内で赤い感情が煮えたぎるように膨れ上がる。
「チャンピオン!」
 ふと、ダンデの指の動きが止まる。はっとした表情でナマエを見据え、瞬きを繰り返す。
 ナマエはひとつ息を吐いた。「チャンピオン。わたしの声、聞こえますか?」
「勿論だ」
「それでは、話を聞いてくださいますね」
 ダンデは親指でスマホの電源を切った。向かい合ったところでナマエは耳に髪をかける。
「わたし、ワイルドエリアでカレーライスを食べたことがないんです」
「そうなのか?」
 はい、とナマエは頷く。「チャンピオンならリザードン級に美味しいカレーを作れますか?」
「ああ」ダンデの声が若干、活気づく。「バトル同様、誰にも負けない自信があるぜ」
 ナマエは腕時計に目を落とす。「まだお時間に余裕があるのならば、いっしょに作りませんか。エリキテルもきっと家まで我慢できないと思うので」
 エリキテルが乞うようにダンデを見上げる。か細い声で鳴き、なお空腹を主張する。
「分かった」ダンデは頷いた。「リザードン級のカレーライスをオレたちで作ろう」
「ありがとうございます」
 通常運転に戻ったダンデを見て、ナマエは放心する。これがまた騒がしくなると思うと億劫だが、気まずい空気を浄化できるならばそれで良いと思った。
「具材はわたしが切りますので、チャンピオンは火起しだけお願いします」
「火起しだけか?」
「どうかお願いします」ナマエは念を押して言った。「そのほうがわたしも、嬉しいので」
 彼の腕前に不信感を抱いているわけではない。だが、仮にもガラル地方のチャンピオンだ。誤って怪我でもされたら申し訳が立たない。酷い話になれば、上の圧力で仕事を切られてしまう恐れもある。それだけは絶対に避けなければならない。
 嬉しい、という言葉を聞いたからか。チャンピオンは、分かったぜ、と頷いてくれた。

 場所は変わってワイルドエリアの一角。夜空に浮かぶ浮かぶ星たちが、笑うように瞬いていた。
「チャンピオン、扇ぎすぎです!」
「二人ならこれくらい扇いだほうが良い!」
「常人とあなたの腕力をいっしょにしないでください!」
 ぼうっと焚き火から炎が激しく燃え上がる。ナマエは思わず、うわっ、と情けない声を出す。
「火の粉を飛ばさないでください!」
「す、すまん!」
 備え付けのキャンプセットを駆使し、ナマエはダンデとカレーライス作りに奮闘していた。自分たちの後ろではエリキテルとリザードンが玩具で遊んでいる。
「これ、焦げてませんか?」
「まだ平気だろう」ダンデが扇ぎながら言う。「ナマエもまだまだ扇いでくれ」
「わたしはもう色んな意味でくたびれてきました……」
「体力には自信があるんじゃないのか」
 カチン。彼の無自覚な挑発に感化され、ナマエは身体のどこかでスイッチが入ったのを感じた。
「分かりました」ナマエは団扇を構え直す。「最後まで二人でやり遂げましょう」
「そうこなくちゃな」
 数分後、無事にカレーライスが完成した。果実を使ったシンプル・イズ・ベストなカレーだ。
「美味しそうですね」ナマエが言った。
「オレとナマエで作ったんだ。美味いに決まってる」
 役割分担は以下の通り。ダンデが選別した具材をナマエが切り揃え、木の実の皮や種は協力して切り落とした。
 ナマエはダンデに刃物を使って欲しくなかったのだが、やらせて欲しい、と懇願されたため、仕方なく折れた。意外にも彼の腕利きは見事なものだった。
 ポケモン用の平皿にカレーライスを盛り付ける。エリキテルと比べ、リザードンはさすがの量だ。文字通り山盛りになっている。
 遊んでいる二匹を呼び集め、組み立て式のテーブルに人数分のカレーライスを並べた。
「食べましょうか」
「ああ」
 ナマエはスプーンを手に取り、カレーライスを口へ運んだ。火を起こしすぎて焦げているのではないかと懸念していたが、口内に広がるのは『絶品』の二文字。正にリザードン級の美味しさだ。思わず頬を抑えてしまう。
「美味しいですね」
「汗水垂らして扇いだ甲斐があったな」
「そうですね」ナマエはまたひと口食べる。「チャンピオンの言うとおりでした。お詫びします」
「謝ることでもないだろ」
 わたしが悔しいんです、とは言えなかった。
 実際のところ、チャンピオンの助言がなければここまでの出来にはならなかったかもしれない。天性によるものなのか、彼が選んだ食材は味が良く、他と比べても状態が非常に綺麗だった。全体的に誤魔化している部分はあるかもしれないが、壊滅的な不器用さは見られなかった。
 何より――二人で料理をすることがこんなに騒がしいとは思わなかった。今回の場合は、相手がチャンピオンであったことも大きな理由だが。
「ナマエ」
「はい」皿を膝の上に置き、隣を見やる。
「他に捕まえたいポケモンはいるか?」
「ずっと考えていますが、エリキテルと相性の良いポケモンがなかなか見つからなくて」
 当初の候補に挙げていた三匹も、電気タイプのエリキテルと差し支えのないポケモンを選んでいた。互いに苦手な要素があれば、それだけで大きな障害になってしまう。ナマエなりに考えた上で導き出した答えだ。
「申し訳ありません。貴重な時間を割いてまで、お付き合いいただいているのに」
「誘ったのはオレだ。きみが謝ることじゃない」
「ですが……」
 そうだ。先ほども同じことを考えていた。
 そもそも何故、チャンピオンは自分のためにこれだけの時間を割いているのだろう。まさか日が暮れるまで付き合ってくれるとは思わなかった。
 仕事の延長線上にしても、ポケモンをゲットするにしても。王者とも呼ばれる男が、一人の人間にここまで肩入れする理由が分からない。
 ポケモンのため? 仕事のため? それともガラル地方のトレーナーのため?
 まさか――ここまで考えてナマエは臆見を振り払った。いや、彼に限ってそれはあり得ない。
 チャンピオンなりの考えがあっての行動なのか。顔を合わせる度、予想もつかないことを言い出し、提案してくる男の考えなんて、いくら考えても解らない。
 彼の思考はまるで宇宙だ。果てしなく、限りない。
「ナマエ」
 はっとして現実に戻る。目の前には不思議そうにこちらを見つめるチャンピオンの顔。
「早く食べないと冷めちゃうぜ」
「チャンピオンは……」ナマエは相手の皿を見た。既に平らげている。「食べるのがお早いんですね」
「オレも腹が減っていたからな」
「そうでしたか」
 ナマエは冷めかかったカレーライスを食べ始める。随分と長い間、考え込んでいたようだ。
 夕食を済ませたあとは紅茶を淹れた。ケトルで湯を沸かし、二つのマグカップへ注ぐ。
「どうぞ」ナマエは片方をダンデへ渡した。「簡易パックですが、なかなか美味しいですよ」
「すまない」
 ナマエはマグカップで暖を取りながら、ダンデの隣へ座る。先ほどより少しだけ距離を空けて。
 相手は何も喋らない。黙って紅茶を飲んでいる。何も訊かずに渡してしまったが、苦手ではなかっただろうか。飲むということは恐らく好きなのだろう。
 ナマエは、ぼうっとポケモンたちを眺める。先ほどまで走り回っていたエリキテルは、遊び疲れていまは眠っている。そんな彼をリザードンは自分の腹を支えにするように座っていた。時々寝返りを打つエリキテルを直しては、目を閉じている。
 トレーナーたちと比べ、エリキテルとリザードンは随分と仲を深め合っているようだ。飛行タイプが含まれているリザードンは電気タイプのエリキテルを敬遠するかと思ったが、全くお門違いだった。
 もしかすると、そんな偏った知識がポケモンゲットの失敗を招いたのではないだろうか。自分がガーディを捕まえたい、などと言わなければ。リザードンを危険に晒すこともなく、隣の男にも余計な責任を背負わせることもなかったのではないか。
「何か考え事か」
 沈黙を破ったのはダンデだ。
「いえ」ナマエは紅茶を含む。「何でもありません」
「きみにしては静かだと思ったんだ」
 あなたにだけは言われたくない。ナマエは口外せず、脳内ででかでかと呟く。
「さっきは本当にすまなかった」
 今日は謝ってばかりだな、と思う。「謝罪は何度も聞きました。もう止めてください」
 仮にも人の上に立つ者だ。そんな人物が軽率に頭を下げていいものではない。
「だが、嬉しかった」ダンデがナマエを見る。「ナマエから、まだいっしょにいたい、と言ってくるなんて」
「お言葉ですが、そのようなことはひと言も申しておりません」ナマエは抑揚をつけて言った。
「カレーライスを作ろう、と言ったじゃないか!」
「作って食べようとお誘いしただけで、まだいっしょにいたい、という意味ではありません」
 なるほど、とダンデが謎の合点を決める。「言葉って難しいな……」
 それはあなたに限った話だろう、と胸中で突っ込む。そろそろ口にしたい気分だ。
「ひとつ、訊きたいんだが」
「何でしょうか」
「ナマエは何故、リザードンはエアスラッシュを覚えていると知っていたんだ」
「聞いたからです」ナマエは即答する。「チャンピオンと初めて収録を交わす前、シュートスタジアムで試合をしていましたよね。その時です」
「ああ」あのときか、とダンデは顎に手を添える。
「技を出す場面を直接見たわけではないですが、実況者の台詞が耳に入ってきたんです。職業柄、身体に取り入れられる情報は否が応でも入ってくるので」
 ナマエはアーマーガアタクシーから試合の様子を眺めていたことを想起させていた。
 でも、とナマエは続ける。「どうしてリザードンはわたしの指示に応えてくれたんでしょう」
「どういう意味だ?」
 チャンピオンならば知っていると思うが、ナマエは改めてトレーナーの経験値について話した。
「ご存知の通り、わたしはバトル経験がほぼ皆無です。リザードンが従ってくれたのは、やはりチャンピオンの育成やお世話が行き届いていたからでしょうか」
 ダンデは少し考え込んだあと、リザードンを呼んだ。彼はエリキテルを起こさぬように立ち上がって飛んでくる。風でナマエの髪がふわりと揺れた。
「オレのリザードンだから、というのはあながち間違いでもない。こいつは相手を定めたらスイッチが入るんだ。オレと同じで」
 同意するようにリザードンが鳴いた。
「それに離れる前に言ったからな。ナマエを頼む、と」
 あっ、とナマエは小さく声を漏らした。
 つまりリザードンはナマエではなく、ダンデの指示に従っていたのだ。自分の言うことを聞いたのには、そんなからくりが仕込まれていたのか、とナマエは合点する。
「チャンピオンの指示ならば納得がいきます」
「いや」ダンデは首を捻った。「他にも理由はある」
「そうなんですか?」
 いったい何だろう。チャンピオンは特に詳しく答えようとはしなかった。
「ナマエはリザードンが好きか?」
「はい」ナマエは深く頷く。「かっこいいですし、何より存在感に溢れています。個人的に翼の色が好きで」
「良かったな、リザードン」
 彼はどこか照れくさそうに鳴いた。その表情にナマエも釣られて微笑みを零す。
 やがてエリキテルの元へ飛び立った翼を見届け、ナマエとダンデはそれぞれの紅茶を含んだ。
「そういえば、聞いてなかったよな」
「え?」
「ナマエが何故、エリキテルを連れているか」この間は聞けなかったから、と彼は付け足す。
「訊きたいことはひとつ、と仰いましたよね」
「良いじゃないか。減るものじゃない」
「チャンピオンならば、発言に責任を持ってください」
「ぐっ」ダンデはたじろいだ。
 ああ、そうか。今後はこうして彼の肩書きを利用すれば良いのか。ナマエは悪知恵を得た。
「だ、駄目か?」
「そんな目で見ても駄目です」
 決して悪い話ではない。エリキテルとの思い出であれば、いくらでも花を咲かせられる。
 問題は聞き相手だ。不明な点で満ちている彼に、迂闊に過去をひけらかしたくない。その対象がチャンピオンであるだけで断る理由は十分だった。
 拗ねるか怒るか。どちらの感情を露わにするかと思いきや、彼は隣で笑い始めた。
「なっ」ナマエは渋面を作る。「何がそんなに可笑しいんですか」
「いや」ダンデは笑いながら手で制する。「気にしないでくれ。こちらの都合だ」
「謎の都合で笑われて喜ぶ人はいません」
 ナマエは自分で空けたはずの距離を詰めた。
「本当に何でもないんだ」
「……本当ですか?」
「知りたいのか?」
 彼のひと言で、はっとする。ナマエは自身の行動を振り返り、必死に平常心を保つ。
「知りたくないのか」
 確認のように彼は訊ねてくる。ただそれだけなのに、まるで悪魔の囁きに聞こえてくる。
 ナマエは気付かれないように再度、距離を置いた。
 深く考えるな。考えてもこの男は分からない。分からないことが正しいのだから。
 彼は偶像を見せつけたかと思えば、それらに似合わぬ新たな一面を次々と解放していく。知りたくもないことばかりを抱え、必要な情報を一切与えてくれない。
 まるでびっくり箱だ。予期せぬ場面に登場し、厄介な特性を持った不思議な生き物。
 だからこそ、こんなにも、気持ちが悪い。
「なあ、ナマエ」
 まただ。またそんな声で呼びかける。日頃はそんな風に声色を変えることはないのに。
「オレのこと、どこまで知りたい?」
 気付けばいつも距離を縮められている。平気で他人の領域に両足ごと突っ込んでくる。こちらの心境などお構いなしに踏み込むのは、さぞ心地が良いのだろう。
 彼の息が、髪越しに耳に掛かる。
「ナマエになら特別に教えてやる」
 ぷちん――ナマエのなかで何かが切れた。
 人を茶化すのも、いい加減にしろ。
 ナマエが怒髪衝天の勢いで胸倉に掴み掛かろうとした時だった。近くの草むらが音を立てて小刻みに揺れた。そのお陰でナマエは平静さを取り戻した。
 暗がりのなか、草むらから小さくてふさふさしたものが飛び出してくる。
 イワンコ。アローラ地方では馴染み深い岩タイプのポケモンだ。しかしナマエの記憶と知識が正しければ、彼はガラル地方では棲息してないはずだ。何故ワイルドエリアにいるのだろう。
「イワンコじゃないか」ダンデが意外そうに言った。「何故ワイルドエリアに?」
 また彼と同じことを考えてしまった。ナマエは嫌気を抱えながらイワンコを観察する。
 ふと、空色と目が合う。イワンコは丸い鼻を動かし、ナマエとダンデを交互に見つめる。小さな前脚でダンデの膝元に載り、匂いを嗅いでいる。ナマエにも同様の行為をし、丸まった尻尾が僅かに動いた。
 イワンコは名に合った声で鳴いた。ナマエの前で尻尾を振りながら利口そうに座っている。
「な、なに?」
 真意が汲み取れずにいると、イワンコはナマエの鞄へ頭を突っ込んだ。首元の岩飾りが衝撃となり、モンスターボールが地面へ散らばってしまう。拾い集めようとナマエは慌てて腰を浮かす。
 その間、イワンコはボールを転がし、鼻先でボタンを押した。小さな体が淡い光に包まれていく。
「お」
「わ」
 モンスターボールは数回揺れると、気持ちの良い音を立てて動きを止めた。

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